◆オカセイ便り 第56号 9月号◆
こんにちは。
アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が厚生労働省専門部会の会議を通り、近く同省より製造販売承認される見通しとなりました。
高額なことや早期患者にしか効果がない等、課題もある中、認知症治療の飛躍の一歩になることは間違いありません。
しかし、その恩恵に与れない人々を取り残してはなりません。
「認知症になっても安心して暮らせる社会に」この理念は持ち続けたいものです。
さて、日々の小さな気付きや発見、皆さまにお役立ていだける情報を盛り込んでお届けしております「オカセイ便り」。
今月もお付き合いいただきますようお願いいたします。
☆ 地球温暖化救うブルーカーボン。釧路の海にCO2を吸収する「コンブの森」誕生 ☆
海水温上昇に伴う大雨や熱波、異常気象がもたらす森林火災など、地球温暖化が原因とみられる気候変動が激化しています。
進行を食い止める二酸化炭素(CO2)削減がいま世界的な課題となる中、CO2を吸収する方法として注目されているのが、海草や海藻など海辺やマングローブ、海の中に生息する植物が吸収する「ブルーカーボン」。
森林をはじめとする陸上の植物が吸収する「グリーンカーボン」に対して、ブルーカーボンは同面積でも2.4倍の吸収量があるといわれ、森林のように燃えて大気中に戻ることなく、枯れても海底で吸った炭素を長期固定することから大きな期待を集めています。
そんな中、北海道釧路市では官民連携により市内の海岸域にCO2の吸収を目的とする「コンブの森」を創設する取り組みがスタートしました。
今夏5月には海藻再生に取り組む民間企業「JBPジャパンブルーカーボンプロジェクト」が釧路ガスの支援を受けて、海底でナガスコンブを観察する実証実験を開始。
7月には釧路漁協によるコンブ養殖の実証実験も始まりました。
国では企業活動から出るCO2の排出量を取引する※カーボン クレジット制度を展開していますが、国内にはこの釧路市以外にもブルーカーボンに注目して活動する自治体や企業、NGOなどのプロジェクトがたくさん生まれています。
中にはセブンイレブンが海草の一種であるアイモを東京湾で生育し、その資金を企業からの寄付や店頭で集める取り組みや、同じく福岡湾でアマモが吸収したCO2の量をクレジット化し、0.1トン当たり880円で企業や団体などに販売する福岡市の事例があります。
四方を海に囲まれ、海岸線の長さでは世界第6位という日本。気象異変や海洋資源の枯渇など不安材料ばかりがクローズアップされますが、この環境を活用しない手はありません。
未来の子どもたちのために、いま私たちができることに全力でトライしたいものです。
※カーボンクレジット…企業が森林や海の植物の保護や植林・養殖、省エネルギー機器導入等を行うことで生まれたCO2の削減効果(削減量、吸収量)をクレジット(排出権)として発行し、他企業等との間で取引できるようにする仕組み。