認知症にやさしいトイレのピクトグラムとは?誰にとっても分かりやすい案内表示の工夫

第71号令和7年9月

 

夏の風物詩、花火大会。ところが近畿各地では10月以降に延期されたケースも多いとか。てっきり猛暑のせいと思いきや! 夏は警護員が大阪・関西万博に取られ安全性の確保が難しいためだそうです。ケガの功名ならぬ、ケガする前の功名でしょうか(笑)。さて、日々の中の小さな気付きや発見、皆さまにお役立ていだける情報を盛り込んでお届けしております「オカセイ便り」。9月15日は敬老の日&21日は世界アルツハイマーデー。今号は認知症関連の話題を取り上げてみました。 

 


 

 

認知症の人に配慮した トイレのピクトグラムが、トイレに悩む老若男女を救う

 


今年1月に『認知症基本法』が施行されました。施策の指針となる基本計画では「当事者の意思尊重」のほか、認知症になっても希望を持って暮らしていける「新しい認知症観」「地域で安心できる暮らし」「新たな知見や技術の活用」の4つの重点目標を掲げています。実際、最近は認知症になってもコンビニや飲食店で働いたり、当事者目線で商品開発に加わったり、認知症の人の視点に立ったまちづくりが進んでいます。そんな中、福岡市で介護施設をはじめ街の公共施設や地下鉄のトイレに導入されているピクトグラム(案内表示)が、認知症の人のみならず誰にとっても親切で分かり易いと注目を集めています。 



一般的に日本のトイレのピクトグラムといえば小さく描かれた男女が立っているシルエット。ところが認知機能が低下し、ものが見えにくくなったり視野が狭くなったりする症状を持つ認知症の人には認識しにくいということが分かりました。そこで福岡市では「記憶に頼らずその場にある情報で行動できるデザイン」を極めた結果、生まれたのが便器に人が腰かけている姿を絵で示したピクトグラムでした。画期的なのはピクトグラムだけではありません。文字も併記し車椅子や腰が曲がった人でもわかるように高さにも配置して大きく掲げ、ドアを壁とは異なる目立つ色づかいにしているのも特長です。 


福岡市では2018年から『認知症フレンドシティ・プロジェクト』の名で認知症の人たちが暮らしやすいまちづくりに取り組む中で、当事者や専門家が共創した『認知症の人にもやさしいデザインの手引き』を策定、このピクトグラムもその中で考案されました。こうしたトイレが増えたことで「トイレの不安なく外出ができるようになった」と話す市民も多く、認知症の人に配慮することは全ての人に使い易いユニバーサルな街になることがうかがえます。 


いかかでしょうか。たかがトイレ、されどトイレ。トイレが近い私も駅やショッピングセンターで真っ青になることが多々ありますが、人の尊厳に直結するトイレは深刻な課題です。このピクトグラムが日本中に、いや世界中に広がってほしいと願います。いま90代の3人に2人が認知症といわれます。人生百年時代を前にして一人ひとりが認知症を自分事としてとらえ、自分らしい暮らしを考える時代が来ています。 

福岡市ホームページ https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/dementia/health/00/04/ninntichoudesign/3-040106.html