◆オカセイ便り 第48号令和5年2月◆

こんにちは。
日一日と日が長くなってきました。
調べてみると同じ国内でも場所によって違いますが、冬至から春分の間に日照時間は2時間以上長くなるとか。
更に冬至と夏至では、例えば東京ならその時間差は約5時間というから驚きます。
さて、日々の小さな気付きや発見、皆さまにお役立て頂ける情報を盛り込んでお届けしております「オカセイ便り」。
今月もお付き合い頂きますようお願い致します。
★優しい嘘から生まれた「バスの来ないバス停」★
一年中で最も寒いこの季節、心がほっこり温まるお話をご紹介しましょう。
年末にふと目に止まった『バスの来ないバス停』というキャッチを付けた新聞の全面広告です。
イラストの下には次のようなコピーが書かれています。
『ドイツのとある認知症の介護施設では徘徊老人の対策で頭を痛めていました。
ある日、職員の一人が「徘徊してしまう老人のほとんどはバスや電車などの公共交通機関を利用したがる人が多い」という傾向があることに気づきました。
そこで職員は施設の前に「バスの来ないバス停」を設置しました。
「家に帰りたい」という老人に対し、「そこにバス停があるので、バスが来るまで待たれてはどうですか?」
とバス停に案内し、5分ぐらいした後に「バスが遅れているようですから、中でコーヒーでもどうですか?」と言うと老人は素直に施設に戻るそうです。
日本でも「バスの来ないバス停」を設置している施設があります』そして、最後はこんなメッセージで括られています。
『認知症の方々の命と尊厳を守る「優しい嘘」について考えてみませんか?』
紙面は公益社団ACジャパンが未来を担う若い世代を対象に公募した公共広告で、新聞広告部門グランプリを受賞した東北芸術工科大学、斉藤彩乃さんの作品ですが、コピーの内容は実話。
介護や福祉系の仕事に従事している方には結構知られた内容だそうです。
この話が広まると、日本でも施設内にダミーのバス停を作る介護施設や事業所が出てきました。
その一つ、愛知県豊橋市にある認知症の方々や家族が集う認知症カフェ「アンキカフェ」は、テレビ番組で取り上げられたのでご覧になった方もあるかもしれません。
公益社団ACジャパンより「帰りたい」と思うお年寄りの気持ちを尊重して考え出された究極の「やさしい嘘」。
紙面を見て5年前に103歳で天寿を全うした祖母の姿が浮かびました。
元気な頃は大阪で暮らしをしていた祖母。
やがて介護が必要になり、実娘でもある義母(妻の母)の住む岡山の私の自宅にやって来たのですが、当初「家に帰りたい」という祖母に「ここはおばあちゃんの家よ」と嘘を付いたものです。
そういえば「介護職は役者であれ」と話していた某グループホームの管理者さんもありました。
中には「認知症だからといって嘘を付くのはよくない」という方もあるかもしれませんが、長年、認知症の祖母を介護する義母や妻を目の当たりにしてきた私には他人事と思えず、しばしこの広告にくぎ付けになってしまいました。

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